2025年6月13日(北京時間)、AMDは年次AIイベント「Advancing AI 2025」を開催。CEOのリサ・スー博士が登壇し、幹部チームやエコシステムパートナー、開発者とともに、AIおよび**HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)**分野における最新の技術革新を披露しました。
今回の発表で最大の注目を集めたのが、次世代AI向けGPUであるAMD Instinct MI350シリーズです。MI350XおよびフラッグシップモデルのMI355Xを含み、最新のCDNA 4アーキテクチャと3nmプロセス技術を採用。なんと1850億個のトランジスタを内蔵しています。
主な技術仕様:
AMDが公開した実測ベンチマークでは、MI355X GPUが**Llama 3.1(405Bモデル)**を処理する際:
さらに注目すべきは、MI350シリーズが5年で30倍というAMDのエネルギー効率目標を前倒しで達成し、実際には38倍の向上を実現した点です。
MI350シリーズは、UECやOCPのオープンスタンダードに準拠し、柔軟なAIインフラを提供。以下のような大規模GPU構成に対応しています:
このプラットフォームは、AMDの第5世代EPYC x86プロセッサと組み合わせることで、大規模AIモデルの学習、推論、展開に最適化され、FP4~FP8精度の各種タスクを高効率に処理可能です。2025年第3四半期よりパートナー企業を通じて提供が開始されます。
さらにAMDは、**2026年展開予定の次世代AIラックスケール・アーキテクチャ「Helios」**も予告しました。3つの主要コンポーネントが中核を担います:
Heliosは、高帯域・高接続性・高効率を重視した次世代AIインフラとして、より大規模な生成AIタスクへの対応を目指します。
ハードウェアだけでなく、AMDは最新の**AIソフトウェアスタック「ROCm 7」**も発表。機能、互換性、開発効率のすべてが強化されました。
ROCm 7の主な進化:
さらに、AMD Developer Cloudがついに全世界で公開され、開発者やオープンソースコミュニティに向けて、プロトタイピングから大規模AIモデルの展開までを支援する、ホスティング型AI開発環境が提供されます。
今回の「Advancing AI 2025」では、ハードウェアからソフトウェア、クラウドインフラ、開発者支援まで、AMDのAI戦略が全方位に展開されていることが明確になりました。 性能・効率・オープン性を兼ね備えたアプローチにより、NVIDIAやIntelと肩を並べる存在として、AMDは今後の生成AI時代において重要な役割を果たす可能性があります。
今後は、AMD Instinct MI350シリーズやMI355X GPU、そして未来のHeliosプラットフォーム が、次世代AIインフラの要として注目を集めていくことでしょう。